マイクロドローンとは何?FPVドローンとの違いやメリット・デメリット・費用相場感
作成日付:2023/02/14 最終更新日付:2025/11/24
弊社では、DJI製品のドローンとは別に、自社開発している自作のマイクロドローンを用いたFPVドローン撮影を多数行っています。
新しい映像表現であるマイクロドローン撮影を依頼したい方や、費用や価格相場感を知りたい方など初めての方向けに解説していきます。
目次
マイクロドローン撮影とは何か?
マイクロドローン撮影とは、小型のドローンを使用して空中から映像を撮影することを指します。
一般的には手のひらサイズから数十センチメートル程度の大きさであり、屋外だけでなく屋内の撮影にも適しています。
マイクロドローン撮影は、商業施設やミュージアムなどの建造物や風景の撮影、イベントの記録、などのさまざまな目的で使用されます。
マイクロドローン撮影で必須なFPVとは何か?

実際のFPVドローン撮影の様子
マイクロドローンで撮影を行う際には、FPV(First Person View)飛行が必須です。
FPVは、ドローンに搭載されたカメラからの映像を、操縦者がドローンに搭載された
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じてリアルタイムで見ることができるシステムのことです。
FPVを利用することで、ドローンが飛行している場所や高度、角度などを主観的に把握できるため、
客観的にドローンを見て飛行を判断するよりも安全に、スムーズに操縦することができます。
また、FPVを利用すれば、映像の角度や位置をリアルタイムに調整し、クリエイティブな撮影が可能になります。
マイクロドローンは、軽量化に伴い、一般的なカメラよりも小型で軽量なアクションカメラが使われることが多いです。
マイクロドローン映像は新しい可能性がある?

モンゴルのJapan festivalでマイクロドローン撮影
マイクロドローンは、小型かつ軽量で機動性が高いため、従来のドローンでは撮影しにくかった狭い場所や
高い上空ではなく、”低空域”で撮影が可能になります。
仮に子供にぶつかってもかすり傷にならない程度の軽量ドローンであるため、
イベント会場やお祭りの会場でこうしたマイクロドローンを飛行させる例も増えています。
(99g以下の航空法規制対象外の自作ドローンであれば安全に配慮してイベント飛行が可能となる)
マイクロドローン映像は、従来の映像制作や空撮とは異なる、新しい映像表現の可能性を秘めています。
例えば、マイクロドローンを使って周辺の風景を捉えたあとに、建物内部に入り込むようなシームレスな撮影することで、
新しい角度からの映像表現ができます。また、マイクロドローンを使って作られた迫力のあるアクションシーンの映像は、
スポーツやアクション映画の分野で注目されています。
マイクロドローンだからこそ撮れる映像とは?

店舗や企業の屋内をドローンで撮影
マイクロドローン撮影は、小型かつ軽量で機動性が高いため、従来のドローンでは撮影しにくかった狭い場所や低空からの撮影が可能になります。
マイクロドローンで撮影できる映像には、主に以下のような特徴があります。
屋内のドローン撮影が可能
マイクロドローンは小型で機動性が高いため、室内やビルの狭い隙間など、従来のドローンでは撮影しにくかった場所からの撮影が可能になります。
弊社では、企業様のオフィスや、データセンタールーム、ミュージアムやカフェの店舗など、
通常、ドローンを飛ばすとは思えないところを撮影しております。
低空域での撮影が可能
マイクロドローンは、障害物センサーを一切搭載せずマニュアル操縦をするため、地上10cmの低空でも150m上空でも撮影が可能です。
これまでは、ジンバルを持って人間が歩き回って撮影していましたが、マイクロドローンを用いると「短時間」で撮影が可能です。
また、DJIドローン空撮などで捉える”高度の高すぎる映像”は人間の目線と異なることが多いのにたいして、
マイクロドローンであれば、人間の目線に近づけることが可能となります。
高速・激しいアクションの撮影も可能
マイクロドローンは軽量で機動性が高いため、高速で動く被写体や激しいアクションの撮影が可能です。
これまで弊社が行った撮影ですと、サーキット内でのF1カーの撮影、モトクロスの撮影、
海辺で撮影した新車のプロモーションビデオ、また映画ではアクション俳優の格闘シーンを多様な視点で捉えたこともあります。
イベントなどの人の密集する会場での撮影が可能
マイクロドローンの持つ小型軽量、そして安全ガードを搭載した安全性を活かして、イベントやパーティ会場、結婚式場などで撮影が可能です。
これまで弊社では、実際の結婚式披露宴や、企業の周年パーティでマイクロドローンを飛行しその映像をライブ配信したり、
撮影した映像素材をその場で編集して、30分後にエンドロールムービーとして上映するなど行いました。
屋内環境であれば、航空法の制限もなく、即時撮影することができるのも強みです。
マイクロドローンに搭載するカメラは何?

GoProのアクションカメラを搭載したFPVドローン
マイクロドローンに搭載するカメラは、機体の大きさや重量制限に合わせてなるべく小型で軽量のもの搭載します。
一般的なマイクロドローンに搭載されるカメラには、以下のようなものがあります。
GoProやDJI Osmo Actionなどの小型アクションカメラ
アクションカメラは小型で軽量であり、耐久性が高いのが特徴です。
最近のものであれば、4K60fps以上の高画質で安定した映像を撮影することができます。
また、GoProであれば「G-log」、DJIであれば「DLog-M」などのカラープロファイルが用意され、
10bitで撮影できることからも、かつてよりも、ポストプロダクションで使用に耐えうる状況になってきています。
小型アクションカメラを軽量化したNaked Camera
アクションカメラは通常130g前後あり、重量100g前後のマイクロドローンには搭載することができません。
そのため、アクションカメラのケースを剥ぎ取り、カメラレンズとセンサーのみにして、
独自に軽量化してマイクロドローンに搭載します。耐久性や熱耐性が大幅に下がるため、独自に対策をする必要があります。
しかし、こうしたカメラ自体の軽量化により、高画質を担保しながら、上述のマイクロドローンだからこその映像が撮影可能です。
スマートフォンカメラ
スマートフォンカメラをマイクロドローンに取り付けることもできます。
これまで、弊社ではiPhone 10 Pro MaxやAndroid Xperia X1などを搭載する実験を行ってきました。
画質面では、アクションカメラと大きな差がないものの、独自のアプリを使えるため、
LiDAR機能を活用した3Dスキャンや、iPhoneで撮影可能な「空間ビデオ」で撮影するなど通常のカメラではできない撮影も可能となります。
一眼レフやシネマカメラ
1インチセンサー以下のアクションカメラには画質面で課題となることが多く、
TVCMや映画などの現場においては、「表現がいいけど使えない」こともあります。
そうした場合に、可能な限り軽量でバランスの良いカメラを自作ドローンに搭載し利用することがあります。
弊社では、Blackmagic Micro Studio Camera 4K G2(マイクロフォーサーズ)、
SONY FX30(APS-C)やSONY a1/FX3(フルサイズ)を使用しております。
もはや「マイクロドローン」とは呼べないほど大きなものとなりますが、
これまで「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」をアクションカメラ同様に軽量化して、
ガード付き屋内FPVドローンとして活用したこともあります。近年ではDJI Roninジンバルを搭載することで
3D空間をリアルタイムに移動できるFPVとカメラワークを組み合わせることも増えています。
以上のように、マイクロドローンに搭載されるカメラには様々な種類がありますが、
一般的には小型で軽量のものが選ばれます。
マイクロドローン撮影のメリットとは?

Osmo Pocket2を搭載したマイクロドローン
これまでのマイクロドローンの特徴を踏まえて、他の映像にはないメリットをまとめます。
狭隘部や低域、危険地帯の飛行移動
小型軽量で、センサーレス、ガードを工夫をすることで、
低空飛行や狭い場所を通過でき、多少壁に当たってもすぐに復旧して飛び続けることも可能なのが自作のマイクロドローンです。
そのため、屋内施設や原発や震災地域などでも柔軟に飛行することが可能です。
近年では、ウクライナーロシア間の戦争だけでなく、世界各地でFPVドローンが戦術として活用されています。
ロボットとは違う動物的な動きを表現
マイクロドローンは、自作でセンサーレスであるため、自立飛行や安定飛行はできないものの、
人間や動物が移動するように、ゆらぎを持った移動が可能です。
ロボットのようなカクカクとした動き、またはのっぺりとしたスムーズすぎる動き(ジンバル等)とは別に、
多少の揺れを伴う、自然な動きが可能です。そのため、映像自体に生きている感覚、実際に移動している体験を促すことが可能です。
自作ゆえの低コスト化と高い柔軟性
一般的なドローンやカメラ機材は汎用的に使われるために高価となりますが、
マイクロドローンはパーツを集め、自作するために低価格で原材料を調達することができるため
低コストで機材を制作することが可能です。
また、搭載したいカメラや目的に応じて、作り変えることが可能であるため、
「照明を追加したい」「カメラをスペック高いものに変えたい」など柔軟な対応が可能です。
マイクロドローン撮影のデメリットは?

自作のマイクロドローンはメンテナンスが重要
マイクロドローン撮影のデメリットは以下の通りです。
画質の低さ・映像の歪み
アクションカメラを使用することの多いマイクロドローンは搭載できるカメラのセンサーサイズが相対的に小さくなるため、
低いダイナミックレンジや、カラープロファイルが限定的になるなど、結果的に画質が問題になることがあります。
また、広角ゆえの歪み(Distortion)により、スタビライズ処理やCGなどのトラッキング処理のポストプロダクションで課題になることもあります。
こうした課題に対処するために、搭載できるカメラを変更したり、あらかじめ表現方法を考えて撮影前にトレードオフを認識することが重要です。
風や雨に弱い
屋内マイクロドローンは小型であるため、風に弱い傾向があります。
また、各種基盤が剥き出し状態のマイクロドローンは雨などの天候も慎重になる必要があります。
弊社では目的に合わせて適切な機体選定や、防水対策を施したマイクロドローンを使用します。
飛行時間が限られている
マイクロドローンは小型であるため、バッテリー容量が限られ、2分から5分程度と飛行時間つまりは録画可能な時間が短いです。
一回の撮影に時間がかけられないために、スタンバイ時間が長かったり、香盤スケジュールが柔軟的に組めないと撮影が難しくなる場合もあります。
都度バッテリーを交換する必要もあるため、パイロットには素早く、かつ安全面を考慮した準備工夫が求められます。
電波強度の限界
屋内でのドローン撮影の多くは、壁やガラスなどの障害物が必ずあります。
マイクロドローンはFPVで映像伝送をするために、無線通信を用いますが、無線電波は遮蔽物があると、
電波強度を減衰させてしまうため、「どこからマイクロドローンを飛行させるか」は映り込みの観点を考慮して、とても重要な検討事項になります。
そのため、ロケハンや現場視察において、電波干渉度合いや、どこで操縦するかをチェックする必要があります。
操作に熟練が必要
マイクロドローンを正確に操縦するためには、熟練した技量が必要になります。
ドローンの国家資格やカメラ操作に得意な人であっても、マイクロドローンの操作はできません。
また、空間をFPV飛行する技術があったとしても、撮影をする技術は全く別物であることを理解する必要があります。
マイクロドローン撮影を行うにあたって必要な資格や手続きは?

桜撮影を行った自作マイクロドローン
一般的なマイクロドローン撮影を行うにあたって必要な資格や手続きは以下です。
航空法におけるドローン登録
日本においては、屋外を飛行するすべてのドローンにおいて登録制になっています。
そのため、屋内だけと考えていても、ドローン登録を行い、登録番号(JUから始まる番号)を
機体に見えるようにしておく必要があります。(車のナンバーのようなものです)
屋外における航空法や地域ルールの遵守
マイクロドローン撮影を屋外行う場合は、航空法や地方自治体の条例などの規制を遵守する必要があります。
自衛隊や空港などの飛行禁止区域や、人口密集地域の飛行制限だけでなく、
国立公園でのドローン飛行の入林届の申請や、周辺住民の通報に対処するための警察への連絡など重要となります。
なお、屋内においては航空法の対象ではありません。
国家資格や例外時許可申請等
電波法における無線機器を取り扱うための国家資格が必要となります。
航空法や各種ドローン規制によって、屋外でマイクロドローンを操縦するために「目視外飛行」の許可申請が必要になる場合があります。
2025年11月時点でドローンの国家資格(無人航空機の操縦者技能証明)は必要ありません。
ドローン保険
万が一事故が起きた場合に備えて、ドローン保険に加入することが推奨されています。
弊社では、対人対物10億円までの損害賠償責任保険に加入しております。
マイクロドローン撮影の価格や相場観は?

BMPCC 4Kカメラを軽量化したマイクロドローン
マイクロドローン撮影の価格や相場は、様々な要素によって大きく異なります。
撮影時間
撮影時間によって、価格が変わることがあります。
1-2時間ほどの短時間であれば、数万円程度から利用できる業者もあります。
通常4−8時間の1日の撮影であれば、15万円から50万円ほどの相場と考えられます。
マイクロドローンサイズやカメラの性能
使用するマイクロドローンのサイズや搭載するカメラによって価格が変わることがあります。
例えば、極小サイズで低画質なマイクロドローンであれば低価格帯になりやすく、
マイクロフォーサーズのカメラを搭載したマイクロドローンであれば高価格になりやすいです。
撮影場所
撮影場所によって価格が異なることもあります。
移動や拘束日数に起因して人件費が多くなることや、
撮影場所近辺に重要施設があるなど、特別な許可申請が必要となり費用が増える場合があります。
撮影規模
撮影環境の規模によっても価格が異なる場合があります。
例えば、戸建て3階建ての店舗と、大学キャンパスの各施設の撮影においては、
撮影ドローン・バッテリーなどの機材面の準備や、安全対策における監視者の有無が異なります。
弊社では、これまで8年間で500件以上のマイクロドローン撮影実績から、
どこよりも詳しく、撮影・編集・映像展開までご提案することが可能です。
いただいたご要望に合わせて最適なお見積りをいたします。
なお、事後的に追加見積もりをする事例はありません。
まずはお気軽にご相談ください。